カルシウム

カルシウムパラドックス

カルシウムパラドックスは不思議な現象ですが、よく考えると当たり前のことです。

 

血液中のカルシウムはいつも一定の濃度でないと、心臓や脳の働きがおかしくなり、生命活動そのものが危険な状態になります。したがって、血中カルシウム濃度はいろいろな方法で必ず一定に保たれる仕組みになっています。

 

カルシウムは「生命の炎」といわれるのはこのためです。カルシウムの摂り方が足りないと、血液中のカルシウムは少し減ります。このことは大切な情報として副甲状腺という甲状腺の後に4個ある米粒のような内分泌腺に伝えられ、副甲状腺ホルモンがすぐ出てきます。

 

副甲状腺ホルモンの大切な仕事は、骨に働きかけてカルシウムを取り出し、血中カルシウム濃度を一定に維持することです。

 

いつもカルシウム不足になっていると、常に骨からカルシウムが溶かし出され、骨粗鬆症になります。それだけではありません。カルシウム不足が続いて、副甲状腺ホルモンがいつもたくさん出ていると、骨から過剰なカルシウムが溶かし出され、余分な分は行くところがなくなって血管や脳や軟骨の中、いろいろな細胞の中など、ふつうカルシウムがあっては困るところに入り込んでしまうのです。

 

脳でカルシウムが増えると脳の細胞の働きが落ち、記憶を司る細胞が傷害されるとアルツハイマー病が起こります。

 

インスリンを出す膵臓の細胞の中にカルシウムが入り過ぎると糖尿病になり、いろいろな器官に発生するがんも細胞の中にカルシウムが入り過ぎて起こります。

 

筋肉の力もカルシウムが入り過ぎると弱り、軟骨にカルシウムが入り過ぎると変形性関節症や変形性脊椎症という腰や膝の痛むやっかいな病気になります。

 

生活習慣病といわれる病気が全部カルシウム不足によるカルシウムパラドックスだというのは大変恐ろしいことです。 

カルシウムパラドックスの一番わかりやすい例

カルシウムパラドックスの一番わかりやすい例は、腎臓結石でしょう。

 

アメリカのハーバード大学のカーハン教授がカルシウム摂取と腎臓結石の発症の関係について十数年間追跡調査した結果、カルシウム摂取の少ない人に腎臓結石ができやすく、十分な人にはできにくいことがわかりました。

 

カルシウム摂取が足りないと、骨から余分なカルシウムが溶け出して結石になるのです。

 

骨の中には毎日食べる食事に含まれる量の何千倍ものカルシウムがあります。

 

また、結石のできやすい人はカルシウム不足で血液中のイオン化カルシウム濃度の低い人、副甲状腺ホルモンの高い人、血液中のマグネシウムの高い人に多いことがわかりました。